漢方での便秘の考え方~「実」の便秘と「虚」の便秘~
便秘は大腸の機能低下や、便を押し出す腸の蠕動運動が弱まることで起きます。
漢方ではこの便秘を「実」の便秘と「虚」の便秘の大きく二つに分けて考えています。
■「実」の便秘
これはウサギのフンのように堅くてコロコロして量も少なく腸が締まりすぎることで起こる便秘です。
「実」の便秘の人は肉食や脂物、お酒が好きな人が多く腸が熱を持っているため顔が赤かったり、口が乾いていたりニキビができやすい傾向にあります。
また精神的なストレス、旅行などの環境の変化も腸を緊張させるためこのような「実」の便秘になりやすいといえます。
このように腸が熱をもったり緊張してしまう「実」の便秘には、冷たい水分を摂ったり運動をしたりして腸の緊張をリラックスしてあげると良いです。
■「虚」の便秘
腸がゆるんで便を押し出す力が弱くなって起きる便秘です。
便通は不規則で出てもスッキリせず軟便や下痢になることがあります。
「虚」の便秘の人は冷え症の人に多く、冬の寒い時期にお通じが清々出なくなる人も「虚」の便秘です。
また冷房や冷たい飲み物、冷たい食べ物、果物を多く摂っている方も「虚」の便秘体質になりやすいといえます。
寝不足や過労、大病後など体力が落ちたりした時も腸の蠕動運動は弱くなってしまうため便は出にくくなります。
お年寄りの便秘や汗を多くかいた後、下痢が長く続いた後の便秘は腸内の水分が不足して乾燥してしまうことで起きる便秘です。
その他にも、女性の生理前の便秘は血が子宮に集中してしまうことで腸の血液が不足することで起きます。
このように腸が冷えてしまったり、働きが弱くなったり腸内が乾燥してしまうような「虚」の便秘の方は、温かい食べ物、繊維質の多い食べ物を中心に摂るようにして下半身、お腹まわりを冷やさないようにするとともにウォーキングやスクワットなど下半身の血行を促し、新陳代謝を上げていくとよいでしょう。
一口に便秘といっても、漢方では様々なタイプに便秘を分類して考えていきます。